あなたは、今話題になっているKotlinというプログラミング言語の存在を知っていますか?
現在、デジタル技術は私たちの生活のあらゆる面に浸透しています。従来までは、さまざまなプラットフォームでアプリケーションを開発するためには、それぞれ専用のコードを記述する必要がありました。
そこで登場したのが「Kotlin」です。Kotlinを採用することで、Android、JVM、JavaScript、そしてNativeなど、多岐にわたるプラットフォームのアプリケーション開発が可能となります。
この記事では「Kotlin」とは何か、そのメリットやデメリット、5つの活用事例を解説します。
Kotlinとは
Kotlinは、JetBrainsが開発したソフトウェア開発のためのオープンソース言語です。
単一のコードベースでAndroid、JVM、JavaScript、Nativeなど、様々なプラットフォームに対応したアプリケーションを製作することが可能で、その汎用性と効率性から広く開発者に支持されています。
Kotlinエンジニアとは、Kotlinを駆使してアプリの設計から開発、テスト、デバッグに至るまで、アプリケーション開発の全過程を担当するエンジニアのことを指します。
Kotlinは、JetBrainsが開発したパワフルかつ直感的なプログラミング言語で、その明瞭な構文と堅牢な安全性は、アプリ開発者の間で高い評価を受けています。
Javaとの違い
Kotlinは、Javaと比較して多くの優位性を持っています。その中でも最も際立つ特徴は、よりコンパクトでわかりやすい構文を持つ点と、安全性に対する優れた設計思想です。
伝統的なJavaでは、コードが冗長で理解しにくい箇所がありました。しかし、Kotlinを採用することで、これらの課題を劇的に軽減することができます。
さらに、Kotlinは強力な型システムと充実したライブラリを有しているため、デザインの自由度が高く、魅力的なユーザーインターフェースの実現が容易になります。
Kotlinが注目される理由
現在、エンジニアリングの世界で「Kotlin」に大きな注目が集まっています。
ここでは、その理由を3つ紹介していきます。
- クロスプラットフォーム開発の強み
- 効率的なコーディングが可能
- 市場の需要が拡大している
それぞれ解説します。
クロスプラットフォーム開発の強み
Kotlinが注目される最大の理由は、クロスプラットフォーム開発における優れたパフォーマンスです。
Kotlinは「JetBrains」が開発した言語であり、Javaプラットフォームに最適化されていますが、JavaScriptやNative向けのコードも生成できます。
Kotlinを使用して開発されたアプリは、レスポンスが高速で、ユーザーエクスペリエンスが向上します。複数のプラットフォームに対応したコードを一度に生成できるため、開発工数の削減にも貢献します。
効率的なコーディングが可能
Kotlinは、その簡潔で理解しやすい構文と、ヌルポインタの例外を防止する等の安全性を重視した設計が特徴です。これにより、コードのミスを減らし、開発者の生産性を向上させることができます。
また、REPLというKotlin独自の機能があります。これはコードを入力しながら即時に結果を確認できる環境で、アルゴリズムの学習や実装の試行錯誤に役立ちます。
市場の需要が拡大している
Androidユーザーは全世界に広がっていることから、Kotlinの需要は拡大傾向にあります。
Googleが新しいAndroidの機能を発表するとき、Kotlinが最初にサポートされます。これは、Kotlinエンジニアがいち早く新しいテクノロジーを使うチャンスを得られることを意味しています。
Kotlinエンジニアは高年収
2022年11月時点で、「レバテックキャリア」に掲載中のKotlinエンジニアの平均年収は、582.6万円となっています。Javaは、533.3万円となっていることから、Kotlinの市場価値の高さが伺えます。
Kotlin開発のメリット
では、Kotlinで開発するメリットはどのような点にあるのでしょうか?
ここでは、そのメリットを2つ紹介していきます。
- クロスプラットフォーム開発
- 高いセキュリティ
それぞれ解説します。
クロスプラットフォーム開発
現在のモバイルアプリ開発では、Androidだけでなく、iOSやWebなど、多種多様なプラットフォームに対応したアプリの需要が高まっています。これは、より多くのユーザーへアプリを提供するためです。
その答えの1つが、クロスプラットフォーム開発言語「Kotlin」です。
Kotlinを使用することで、一つのコードベースで多くのプラットフォームに対応したアプリケーションを開発することが可能となり、開発時間を削減しつつ、高品質なユーザーエクスペリエンスを提供することができます。
例えば、世界的に人気のモバイルアプリ「Trello」は、Kotlinを用いて開発され、そのスムーズな動作と使いやすさがユーザーから高く評価されています。
これはまさに、Kotlinが開発効率とユーザーエクスペリエンスを両立する一例と言えます。
高いセキュリティ
Kotlinは、アプリのパフォーマンス向上だけではなく、セキュリティ強化の面でも優秀です。
Kotlinは言語自体の設計が安全性を優先しています。具体的には、ヌルポインタエラーを未然に防ぐための機能、例えばヌルを許容するかどうかを示す型システムが組み込まれています。
その結果、開発者はアプリケーションの安定性を向上させることができ、ユーザーは安心してアプリを使うことができます。
Kotlin開発のデメリット
Kotlin開発には、多くのメリットがありますが、それと同時にいくつかのデメリットも存在します。
ここでは、そのデメリットを2つ紹介していきます。
- プラットフォームにおける最適化の制約
- Javaとの比較での学習コスト
プラットフォームにおける最適化の制約
Kotlinのデメリットとして、プラットフォームにおける最適化の制約が挙げられます。
Kotlinはクロスプラットフォームの開発言語であるため、一つのコードベースで多数のプラットフォーム向けのアプリケーションを開発することが可能です。
しかし、これは同時に、各プラットフォームの特有の機能や最適化を全面的に利用することが難しいという制約も意味します。
したがって、特定のプラットフォームに最適化されたアプリケーションを開発したい場合、Kotlinだけでは限界があります。これは開発の自由度を一部制限する可能性があります。
Javaとの比較での学習コスト
KotlinはJavaに対する代替言語として生まれ、Javaとの互換性を重視しています。
しかし、それだけにJavaからの移行者にとっては、Kotlin独自の機能や文法を学ぶための時間と労力が必要になるでしょう。
特に、Javaからの乗り換えでは、より簡潔で安全性を重視したKotlinの記法に慣れることは一定の学習コストとなります。
これらの点から、Kotlinは開発効率と多プラットフォーム対応を実現する一方で、そのデメリットも理解しておくことが重要です。
Kotlinの活用事例
ここからは、実際のKotlinの活用事例を見ていきましょう。
今回は、以下の5つをピックアップしてご紹介します。
- Trello – タスク管理アプリ
- Coursera – 学習プラットフォーム
- Evernote – メモアプリ
- Pinterest – 画像共有・検索サービス
- Uber – ライドシェアリングサービス
それぞれ見ていきましょう。
①Trello – プロジェクト管理アプリ
「Trello」は、個人やチームのプロジェクト管理を行うためのアプリです。
Trelloでは、ボードとカードを使ってタスクを視覚的に管理することができます。それぞれのカードには詳細や期限、担当者などを設定でき、プロジェクトの進行状況を一目で確認できます。
②Coursera – オンライン学習アプリ
「Coursera」は、世界の一流大学や教育機関から学べるオンライン教育プラットフォームです。
Courseraを使用すれば、ビジネスから科学、アートまで、幅広い分野のコースを自分のペースで学ぶことが可能です。
③Evernote – メモアプリ
「Evernote」は、ノートを取るため、そしてアイデアを整理するためのアプリです。
Evernoteを使用すると、テキストノートから写真、リスト、音声メモまで、様々な形式のノートを作成できます。また、全てのノートはクラウド上で同期され、どのデバイスからでもアクセス可能です。
④Pinterest – 画像共有・検索アプリ
「Pinterest」は、画像を共有したり、自分だけのボードを作成してアイデアを集めたりすることができるアプリです。
Pinterestでは、料理のレシピからDIYのアイデア、旅行のインスピレーションまで、あらゆるカテゴリーの画像や情報を見つけることができます。
⑤Uber – ライドシェアリングアプリ
「Uber」は、世界中の都市で利用できるライドシェアアプリです。
Uberを使えば、スマートフォンで簡単に車を呼び出すことができ、クレジットカード情報を登録していれば自動的に料金が引き落とされるので、現金を持つ必要がありません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事では、Kotlinとは何か、そのメリットやデメリット、活用事例について詳しく解説しました。
最新のIDC Japanのレポートによれば、国内のモバイルアプリケーション市場は2025年までに約2448億8200万円にまで成長すると予想されています。
その中で、Kotlinを使用したアプリ開発の需要も急速に増加しています。
Kotlinを用いたアプリは、その簡潔さと安全性、そしてJavaとの互換性から、他の言語で開発されたアプリよりも効率的に作成することが可能となっているからです。
日々進化し続けるKotlinの動向には目が離せませんね。
最後までご覧いただきありがとうございました。ではまた!