プログラミングの世界に触れている方なら、Kotlinという言語を聞いたことがあるでしょう。
しかし、その本質や将来性を具体的に理解している人は、それほど多くはないかもしれません。Kotlinは生産性が高く、使いやすいプログラミング言語であり、その評価と採用率は加速度的に高まっています。
この記事では、Kotlinの「将来性」や「現状」について詳しく解説します。そして、なぜ今Kotlinエンジニアを目指すべきなのか、その達成への道のりについても触れていきます。
Kotlinとは
Kotlinは、JetBrainsが開発したソフトウェア開発のためのオープンソース言語です。
単一のコードベースでAndroid、JVM、JavaScript、Nativeなど、様々なプラットフォームに対応したアプリケーションを製作することが可能で、その汎用性と効率性から広く開発者に支持されています。
Kotlinエンジニアとは、Kotlinを駆使してアプリの設計から開発、テスト、デバッグに至るまで、アプリケーション開発の全過程を担当するエンジニアのことを指します。
Kotlinは、JetBrainsが開発したパワフルかつ直感的なプログラミング言語で、その明瞭な構文と堅牢な安全性は、アプリ開発者の間で高い評価を受けています。
Kotlinとは?最強のAndroid開発プログラミング言語を初心者向けに解説
Kotlinの需要が高い業界 – 仕事
ここでは、Kotlinの需要が高い「業界」や「仕事」をご紹介します。
- 需要が高まる業界 – テクノロジー業界やスタートアップ
- 需要が見込める仕事 – モバイルアプリ開発やサーバーサイド開発
それぞれ解説します。
需要が高まる業界 – テクノロジー業界やスタートアップ
現在、テクノロジー業界やスタートアップでは、Kotlinの需要が増しています。これは、Kotlinの「簡潔性」や「生産性の高さ」が評価されているからです。
特に、テクノロジー業界では、「Androidアプリ開発」や「サーバーサイド開発」がKotlinの主な利用事例となっています。
「Androidアプリ開発」では、KotlinがGoogleに公式に推奨されていることから、開発者たちはKotlinを活用して効率的にアプリケーションを構築しています。
「サーバーサイド開発」では、Kotlinはその安全性とパフォーマンス、そしてJavaとの互換性を生かして使用されています。
需要が見込める仕事 – モバイルアプリ開発やサーバーサイド開発
モバイルアプリの開発やバックエンド開発は、Kotlinを習得した開発者が活躍する場が広がっています。
特にAndroidアプリの開発では、Kotlinの特性が大いに生かされます。バックエンド開発でも、Kotlinの簡潔さと高度な互換性が注目されており、その役割はますます重要となっています。
Kotlinの現状
Kotlinの現状として、以下の3つが挙げられます。
- モバイルおよびWeb市場の成長
- バックエンド開発人材の需要が高い
- Kotlinエンジニアは高年収
それぞれ解説します。
モバイルおよびWeb市場の成長
最新のIDC Japanのレポートによれば、国内のモバイルアプリケーション市場は2025年までに約2448億8200万円にまで成長すると予想されています。
スマートフォンのユーザー数が増加し、デジタル化が進む現代社会において、モバイルアプリケーションとWebアプリケーションの重要性はますます高まっているからです。
さらに、新型コロナウイルスの影響により、リモートワークやオンラインショッピングなど、アプリケーションの利用シーンはさらに広がっています。
バックエンド開発人材の需要が高い
アプリケーションの需要増に伴い、バックエンド開発者、特にKotlinの知識を持つ開発者の需要も高まっています。しかし、その需要に対する供給は十分ではありません。
これは、バックエンド開発には深い理解と特化した技術が求められるため、経験とスキルを持つ開発者が不足しているためです。
Kotlinエンジニアは高年収
Kotlinエンジニアは、高度な知識やノウハウが求められ、その難易度と比例して年収も高く設定されています。では、実際にどれくらい給与が高いのでしょうか?
フリーランス求人サイト「フリーランススタート」のデータを元に紹介します。
2023年5月時点、「Kotlin」で検索をかけてみると4391件の求人情報にヒットしました。
平均単価は【76万円】、最高単価【161万円】となっています。
近年のモバイル市場の需要の高まりと共に、Kotlinエンジニアの年収は上がり続けている状況です。
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Kotlinに将来性はある?
結論として、Kotlinの将来性は非常に明るいと言えます。
まず、KotlinはGoogleが公式にAndroid開発の言語として採用されています。従来のJavaからKotlinへの移行が進行中であり、Android開発におけるKotlinの人気は高まる一方です。
その証拠として、Pinterest、Uber、Evernote、Trelloなどの全世界的な大企業が既にKotlinを積極的に利用しています。
もちろん日本におけるKotlinの市場価値も高いです。
日経新聞社の「求人データ3万件を分析した調査」によれば、Kotlinエンジニアの平均年収は全プログラミング言語の中で最も高く設定されています。
特に経験とスキルがあれば、年収1000万円超も十分に視野に入るレベルです。これは、Kotlinスキルが市場から高く評価され、大いに求められている証です。
これらの要素を考慮すると、Kotlinの将来性は非常に明るいといえます。
Kotlinがやめとけと言われる4つの理由
Kotlinエンジニアは需要が高まっている人気の職業であるにもかかわらず『Kotlinはやめとけ』と言われることがあります。なぜ、そのように言われるのでしょうか。
『Kotlinはやめとけ』と言われている理由は以下の4つです。
- 初期設定が複雑である
- Kotlin専用のライブラリとフレームワークの理解が求められる
- 頻繁なアップデートに対応する必要がある
- 多くの時間をコーディングに費やす必要がある
それぞれ解説します。
初期設定が複雑である
Kotlinの開発環境設定は初心者にとっては難易度が高く、エラーが生じた際の解決方法も専門的な知識を必要とします。
Kotlin専用のライブラリとフレームワークの理解が求められる
Kotlinでの開発には、Kotlin専用のライブラリやフレームワークの利用が一般的です。これらを理解し、効果的に利用するためには時間と労力を投資する必要があります。
頻繁なアップデートに対応する必要がある
Kotlinは定期的にアップデートされ、新機能の追加やバグ修正が行われます。しかし、これらのアップデートに対応するためには新たな学習が必要となる場合もあります。
多くの時間をコーディングに費やす必要がある
Kotlinでは、アプリケーションのUIデザインからロジックまで全てをコーディングする必要があります。そのため、長時間のコーディングが必要となり、健康を損なってしまう可能性もあります。
Kotlinが難しいと言われる5つの理由
KotlinはAndroidアプリ開発の中心的なプログラミング言語である一方で、初心者の中には「Kotlinは難しい」と感じている人も少なくないでしょう。それは何故なのでしょうか?
『Kotlinは難しい』と言われる理由は以下の5つです。
- Kotlin言語自体の学習曲線が急
- アップデートが頻繁で、その対応が大変
- 特有のライブラリとフレームワークの理解が必要
- 開発環境の設定に手間がかかる
- クライアントへの技術提案が困難
それぞれ解説します。
Kotlin言語自体の学習曲線が急
KotlinはJavaに比べて構文が簡潔で、関数型プログラミングの要素も持っています。この特性はコードを短く、読みやすくしますが、新しいコンセプトに慣れるまでには時間と労力が必要となるでしょう。
アップデートが頻繁で、その対応が大変
Kotlinも定期的にアップデートされます。新しい機能が頻繁に追加され、既存の機能が改善される一方、新たなアップデートに適応するための学習が求められます。
特有のライブラリとフレームワークの理解が必要
Kotlinでの開発には、Kotlin専用のライブラリやフレームワーク(例えば、CoroutineやFlow)の理解が必要です。これらの新しい技術に慣れるためには、一定の時間と労力が必要となるでしょう。
開発環境の設定に手間がかかる
Kotlinの開発環境(例えば、Android Studio)の設定は、初めての人にとっては手間がかかるかもしれません。また、エラーが生じた際のトラブルシューティングにも一定の経験が求められます。
クライアントへの技術提案が困難
クライアントが技術的な背景を持っていない場合、Kotlinの利点と制約を効果的に伝えることは困難な場合があります。これはコミュニケーションスキルだけでなく、技術的な知識も試される場面となります。
Kotlinエンジニアになるには
Kotlinエンジニアになるためには、学歴や資格が必要という訳ではありません。
しかしながら、KotlinやJavaのようなプログラミング言語の理解と、Androidアプリケーション開発の基本的な知識が求められます。
新卒者や学生の場合、Androidアプリケーション開発の会社でインターンシップをすることで、実際の開発経験を積むことができ、就職活動で有利になる可能性があります。
一方で、文系の出身である方や独学でKotlinエンジニアを目指す方も少なくありません。その場合、自分で学習リソースを探し出し、自己学習を通じて技術を習得するための強い決意と情熱が求められます。
また、業界の最新動向について常に情報を更新し続けることも重要なポイントです。
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Kotlinエンジニアに向いている人の特徴
Kotlinエンジニアリングは、一定の専門性を必要とし、そのテクノロジーは常に発展し続けています。そのため、技術トレンドをキャッチアップし続ける柔軟性が求められます。
その特性から、KotlinやJavaに対する深い関心と熱意を持ち、Androidの開発プロセスに魅了される人が、Kotlinエンジニアに適していると言えるでしょう。
しかし、「需要が高く、キャリアパスが広がるから」という理由だけでKotlinエンジニアを目指すと、挫折する可能性が高くなります。
自身の状況や適性を正しく評価し、それに基づいてキャリア選択を行うことが重要です。
もし、プログラミングに対する情熱やAndroidアプリケーション開発に興味を持っているなら、Kotlinエンジニアとしてのキャリアは非常に魅力的な選択肢であると言えるでしょう。
Kotlinエンジニアのキャリアパス4つ
Kotlinエンジニアのキャリアパスは多岐にわたり、そのスキルは他の職種にも転用可能です。
ここでは、主なキャリアパスを4つ紹介します。
- Androidアプリ開発コンサルタント
- シニアAndroidエンジニア
- Kotlinエンジニアのスペシャリスト
- マネジメント職
それぞれ解説します。
Androidアプリ開発コンサルタント
Androidアプリ開発コンサルタントとしては、KotlinやJavaを用いてクライアントのニーズに対応したアプリケーション開発を提案し、実現します。
シニアAndroidエンジニア
シニアAndroidエンジニアとしては、より広範囲な技術的知識と複雑な問題解決能力が求められます。プロジェクトの主導やアーキテクチャ設計などを担当します。
Kotlinエンジニアのスペシャリスト
Kotlinエンジニアとして、専門性を深め、その領域のスペシャリストとして活躍する道もあります。特定の分野での専門知識と経験が必要となります。
マネジメント職
マネジメント職では、チームやプロジェクトの管理を担当します。リーダーシップと人間関係のスキルが重要となります。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回の記事では、Kotlinの将来性、Kotlinが難しいと言われる理由、そしてKotlinエンジニアに向いている人の特徴について解説しました。
Kotlinエンジニアは、世界のAndroidユーザーの人数をみても、その需要は明らかです。さらに、GoogleがKotlinをAndroid開発の公式言語として推奨していることから、その将来性は非常に明るいです。
KotlinはJavaとの互換性が高く、既存のJava知識を活かしやすいという特性があります。可読性が高く、より簡潔なコードを書くことが可能なことから、初心者にとって学びやすいプログラミング言語です。
未経験からでもKotlinエンジニアになることは可能です。Kotlinに興味を持った方は、ぜひこのチャレンジに挑戦してみてください。
最後までご覧いただきありがとうございました。ではまた!